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このクソブログにしてこの管理人 

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07 /09 2024
愚痴、自分語りになりますが、すいません。
更新を停止していた頃はロクに書き上げもしないくせに、認められたいとつまらない自己顕示欲ばかりが増して創作に嫌気がさしていました。
そしてクソブログ管理人は更新さえすればたとえ粗製乱造のゴミクズであってもアクセス数を稼げると、原稿用紙一枚にも満たない稚拙な描写の駄文を毎日書いて、ランキングだのに一喜一憂して、どうしようもなく惨めだったと、今更ながら思います。
実際まともに描写と呼べるものは皆無で、ただひたすら説明、比喩を繰り返す書き殴りばかり、全ては管理人の無能が招いた結果。
当然、誰かに評価されるわけもありません。
結局は楽したかったのです。
たかだか一枚分、書いて終われると。
更新を断ち、ゲームの記事を書いて拍手なんか貰えると嬉しい反面これでいいのかと、心底喜べずに居たのは創作への無責任さに由るものでした。
にも関わらず、自分では無くゲームを責めて慰めていました。
こんなゴミ記事を投稿したのは、誠意を見せる為にも半端に書くのはもう終わりにしたいからです。
来月で丁度一年経ちますので、この機会に変わりたい。
私事ですが戒めの意味を込め、一番見えやすい所に投稿させてもらいます。

2014年7月9日

ここからは自分語り。
創作活動を行う人は自分含め、布教活動、修行等の為に各地を転々とする遊行僧として映ります。
家庭も持たず屋外で野営をして、ただ自分の信じる教えを伝えんとする精神性など自分は持ち合わせていませんし、個人の価値観と思想、宗教を一緒くたにするのは荒唐無稽に思われるかもしれませんが、場所や時代を問わず、一瞬でも感性を共有出来たならそれは物書き、表現者としての喜びとさして変わりません。

最後に創作活動をする人達へ。
評価は他者が決める指標でしかないので、それを絶対とするのはあまりに危険。
気にしている人はランキングだのコメントだの見ないよう習慣付けるのが、一番です。
悪く言われた訳でも無い、特に文句の無い作品ってこと? なら別に良いかと片意地張らずにやれるのはアマチュアだけなんですから、それを苦痛にしてしまうのはあまりに勿体無い。
多くの人に見られるまで、評価は無い物と扱うのが賢明なんじゃないでしょうか。

以上過疎ブログ管理人の戯言でした。
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アルクレプス大陸英雄譚 第十六話  ルドルフを襲う邪霊

アルクレプス大陸英雄譚
05 /23 2019
「ハァ、もう帰りたい……」
「我慢して下さい、アデルさん」

アデルが弱音を吐いた。
《マギアイト洞窟》は男性には勿論、女性にとっても過酷な環境だ。
歩いていると、否応なしに頭は糞まみれになって汚れる。
脚は糞の山に埋もれ、靴の中は水浸しになったような感触がして気持ちが悪い。
路面は転びやすい上、転んで手をつくと、おびただしい数の昆虫が待ち構えている。

「グォォォ……」

岩陰に隠れた《ゾンビ》が、二人に飛びかかる。
が、ルドルフは手に持った槍ですぐさま対処した。

「フゥ、疲れますね……」

ルドルフは一切の躊躇いもなく、《ゾンビ》の骨を砕いた。
脚の骨を狙った後は、対角線上にある腕の骨を、特に念入りに破壊した。
《ゾンビ》は脚のもげた昆虫みたいに、必死に起き上がろうとする。
だが、再び魔物が立ち上がることはなかった。

「ハァ……。見ていて気持ちのいいものではないわね」
「冒険者なんでしょう。慣れないと苦労しますよ。僕は敵に情けを掛けるつもりはないので」
「貴方、手加減ってものを知らないのかしら」
「これは彼らの為でもあるんですよ。アデルさん。何故かと言うと……」

もがくさまを眺めつつ、アデルがため息交じりに喋り出した。
そんな彼女に、ルドルフは自分の考えを熱弁する。
流石に縁もゆかりもない遺体を、国に運ぶような気力はない。
だが、比較的状態のいい遺体だと、死霊にいいように使われてしまう。
それを二度と起き上がれないように、《ゾンビ》の体を損壊すれば、遺体を《ポルターガイスト》などの霊に弄ばれずに済むからだ。
この地で安らかに眠れるようにと、死者の尊厳を守れるようにと。
彼は考えての行動だった。
魔物が減れば、間接的に後からくる冒険者の命も助けることにも繋がる。
彼なりの合理的判断が、《ゾンビ》への執拗で過激な攻撃に至らせたのだ。
そして何より、冒険者として責任を感じていた。

「ふぅん、やっぱり貴方は怖ろしいわね」
「僕は貴方が考えているほど、優しくも、醜くもないと思いますよ」

二人に重い空気が流れる。

「さぁ、一刻も《マナ溜まり》の謎を解明しましょう」

気まずかったルドルフは、切り出した。
《マナ溜まり》を放置していれば、いずれ周辺一帯の魔物は凶暴化、大型化し、死地と化す。
その上、大規模な《マナ溜まり》が一度発生してしまうと、元の状態に戻すのも容易ではないのだ。
魔術師が数百人単位で連日連夜、魔術を打ち続ける作業をしなければいけない。
国お抱えのエリート魔術士だけでなく、国の冒険者総出で、解決に当たるはめになる。

「そんなの、何処かの誰かに任せておけばいいじゃない」

ルドルフの気負いを察したのか、自分には荷が重すぎると感じたのか。
淡々とアデルが漏らした。
わざわざ恩義もない国のために、身を粉にして尽くす必要などあるのか。
ルクスの人間たちが困った所で、冒険者にとっては無関係だ。
故郷であるならまだしも、ハーフエルフのルドルフを積極的に迫害する国である。
いざこざが起こったら、別の土地を拠点にすればいい。、
政治も、国の発展も衰退も、自分たちには無関係だ。
彼女なりに、彼を労うつもりだったのだろう。
しかしルドルフには、アデルの言葉は火に油だった。

「誰かって、何処の誰ですか。今の今まで、誰一人この現象を解決できていないじゃないですか!」

彼女の投げやりな発言に、彼は言葉を荒げた。
洞窟の内部には暫くの間、彼の声が響き渡っていた。
と、それに呼応するかのように、ありとあらゆる生命体が水を得た魚みたいに、所狭しと動き回った。
嫌な思いも、数え切れないほど体験してきた。
だが、ダンにハンナ。
過ごしていく内に、大事な人と守りたいものが出来た。
それ故、ルドルフは受け流すことは出来なかった

「……悪かったわよ。でも、命を張ることもないでしょう?」
「僕の方こそ、すいませんでした。勝手に使命感に燃えて、勝手に怒鳴り散らして……」

互いが互いに悪い部分を反省して、謝罪し合う。

「おうおう、仲が良いな。二人共」

と、いつも一緒にいる男女をからかう小学生のように、二人を茶化した。
シルヴィアの軽率な態度に、アデルは不快感を露わにした。
眉間に皺を寄せ、縄張りを主張する猫のように、彼女はシルヴィアを射貫くような目で見据えた。

「……なんで、ついてくるのかしら。鬱陶しいのよ」
「だ、だって暇なんだもん。一人で寂しいんだもん!」

可愛い子ぶって云うが、アデルの表情は、なおも険しかった。

「目の前から消えてちょうだいよ」
「殺す気か!」

アデルは開いた傘を、彼女に向けた。
魔法を唱えるつもりだったのだろう。
突然の敵意に驚いた彼女は、酔っぱらいのような千鳥足で後ずさりすると、よろめいて頭から転倒してしまう。

「大丈夫ですか、シルヴィアさん」
「頭が、割れるぅ! 死ぬぅ!」

彼女は、ズシリと全身の骨に伝わるような重さだった。
いったい、どれほどの重量があるのだ。
生暖かく粘々とした糞ごと、力任せに持ち上げると、同時に昆虫も彼の体へよじ登る。
虫の這い回る不快感を感じながらも、ひょいと掴むと、すぐさま壁へ叩きつけた。
起き上がると彼女は、申し訳なさそうに

「有難い」

とだけ呟いた。

「相手してると疲れるわ」
「……ハァハァ、賑やかでいいじゃないですか」

肩で呼吸をしつつも、ルドルフは白い歯がこぼれるような笑みを浮かべる。
二人が前へ向き直すと、再びシルヴィアの声がした。

「ルドルフ、アデル。た、たしゅけて……」

何事かと思うと、今度はうつ伏せでシルヴィアは倒れ込んでいた。

「ルドルフ、どうする?」
「ほっときましょう。構っていられませんし、亡者ですし」
「む、無念だ……。我が人生も、ここで終わってしまうのか……。」
「いや、貴方は死んでるでしょうに」

冷静に、突っ込みを入れる。

「……残念だ。私の人生は、終わってしまった……」
「ハァ、うるさいのがいなくなって、せいせいしたわ」
「同感です」

彼女を置き去りに歩み続けると、彼らの目の前に骸骨の怪物《スケルトン》が現れた。
死後かなりの時間が経過しているのか、腐肉は綺麗に貪られている。
どういった原理で動いているかは、諸説ある。
供養されなかった無念の魂が亡骸を動かしている、《ゾンビ》同様に死霊が憑依している説が有力だ。
死んだ冒険者から拝借したのだろうか。
右手には木製のバックラー。
左手には片手で扱えるような取り回しの良い、いわゆるショートソードが握られていた。
虚ろな瞳で、何かを訴えかけるように《スケルトン》は二人に見遣っていた。
大丈夫、何の変哲もない《スケルトン》だ。
ルドルフは槍を手に持つと、凝視しつつ間合いを詰めていく。
《ゾンビ》であっても、《スケルトン》であっても大差はないのだ。
骨さえ砕いてしまえば、動きは鈍くなって襲い掛かってはこれなくなる。
大した魔物ではない。
彼は幾度もアンデッドの魔物を、戦闘で返り討ちにしてきた。
経験も実績も、そして自信もあった。
だが、それ故に心の何処かで慢心していた。
負ける筈がないと。
槍を突き刺すと、胸骨は容易く砕けた。
刃と骨がぶつかると、手元にガツガツと振動が伝わった。
まるで、ピッケルで岩壁を掘った時のように。
だが、一向に《スケルトン》は倒れない。
普段であれば、簡単にやられるのに。
まさか、これは……。
ルドルフに、一抹の不安が過った。
この魔物は、死霊術で操られているのではないか。、
死霊術士(ネクロマンサー)の力が分け与えられた個体は、並の魔物とは比較にならないほど強力である。
しかし、そのような可能性など、ルドルフは考慮していなかった。
彼が油断してしまうのは、無理もなかった。
このような辺鄙な場所で死霊を使役させる、酔狂な死霊術士など、まずいないからだ。
何らかの目的が、何者かが《スケルトン》を操っている。
もしや、この《マナ溜まり》に、一枚噛んでいるのか。
それどころか、ルクス国内でトレヴァーが起き上った出来事にも、関連しているかも知れない。
一瞬の内にルドルフの頭の中を、様々な体験が駆け巡った。
何処の誰が、何の目的でやっているか考えるのは後回しだ。
まずは、目の前の問題を片付けねば。

「破壊と創造の神に、御言葉を……。」
「ルドルフ、後ろにも魔物が……。こっちは私に任せて」

詠唱中、アデルが唐突に云うと、ルドルフは後ろへ振り返ってしまった。
彼女の視線の先には《ゾンビ》の群れが、よたよたと歩いている。
前方から《スケルトン》、後方から《ゾンビ》が二人を挟み撃ちにするように迫ってきていた。
だが、今は目の前の《スケルトン》を片付けないと。
時間にすれば、秒針の音が二、三回鳴り響くくらいの、数秒の出来事だった。
束の間の気の緩みだった。
だが魔物は、彼の慢心を見逃してはくれなかった。

「グォォォ……!」

この勝負、貰った!
魔物は、そう叫ぶかの如く唸った。
途中で詠唱を破棄したせいで、足元の淡い赤の光が消えていく。
それは即ち、無防備な状態で攻撃を受けるに他ならなかった。
まずい、このままでは……。
―――そして《スケルトン》はショートソードを、彼目掛けて振り下ろす。

アルクレプス大陸英雄譚 一、二話を書き直すかもしれません

未分類
05 /22 2019
一話は書き直すと思います。
短すぎますし、特に伏線などの描写もない、物語の導入部分なので。
ルドルフくんの三か月前の出来事か、初めての殺人の描写にするか迷っていますが、どないしよう(遅筆ゆえ、いつになるか分かりませんが)。
四話以降は伏線を所々に張ってるので無理ですが、冒頭だけでもマシにしたいので。
以上、短いですが報告でした。

アルクレプス大陸英雄譚 第十五話 マギアイト洞窟の馬鹿女幽霊

アルクレプス大陸英雄譚
05 /21 2019
オーランドらに襲われ、幼馴染と一悶着ありながらも、ルドルフたちは、遂に洞窟へと辿り着いた。
《マギアイト洞窟》は人工洞窟で、名前通り《マギアイト鉱石》の主要な産出地であった。
だが魔物が棲みつくようになってからというもの、洞窟周辺の管理はされなくなり、今は人の出入りも疎らだ。
洞窟の傍にある人一人乗れそうな四角形の台座の上には、何も乗っていない。
だが、プレートにはシルヴィアと女性の名前が刻まれていた。
台座付近の立て看板を見遣ると

愛娘シルヴィアは、高潔な志を持ちながらも、志半ばにして夭逝(ようせい)してしまった。
あまりにも短い娘の死に、私は耐えられそうにない。
ルクス神よ。
人ならざる者としての生を望む私を、どうか許してほしい。

と、供述されている。

「これは何かしら」
「中に入れば、分かりますよ」
「ところで、アデルさんは虫って得意ですか、苦手ですか」
「別に平気だけど、どうかしたの」

ルドルフの問いかけに、アデルは呆けた顔で答えた。

「ならいいんですけど。うわ、いつ見ても凄いな」

洞窟内部に少し進んだ後、ルドルフは光魔法で、周囲を照らす。
と、ルドルフとアデルの目の前には、異様な光景が広がった。
地上にいる冒険者らの隙を伺うみたいに、闇の中で黄色い瞳を不気味に輝せる、天井のコウモリ。
足元には泥のような糞が堆積し、数百、数千、数万のゴキブリが、まるで絨毯のように地面を覆いつくし、蠢く。
黒一色の天井から糞が落ちると、羽化したばかりの赤茶色の集団が、狂喜し、我先にと群がっていった。
そして、それを食物とする《グラスホッパー》という魔物が、これまた恐ろしい。
斑模様が特徴的な、音に敏感な昆虫で、自分の体長の数倍はあろう跳躍力で、思い切り飛び掛かってくるのだ。
恐怖のあまり絶叫する冒険者へ送られる、《マギアイト洞窟》からの洗礼。
もとい粋な計らいである。
人を見掛けたかと思えば、《ポルターガイスト》が死者の体に乗り移って《ゾンビ》として徘徊しているなど、恐怖体験には事欠かさない。
そして極めつけには、朽ちた肉体に食いついた昆虫が、《ゾンビ》を剣などで刺すと同時に、血のように溢れ出してくるのだ。
虫が苦手な冒険者には卒倒もの。
そうでなくとも、一度入ったら二度と忘れられない場所。
それが《マギアイト洞窟》である。

「さて、いきましょうか」
「コウモリも、虫も、ゾンビも単体では苦手じゃないけれど。でも、限度があるわよね」

自分は何も見ていないとでもいう風に瞼を閉じて、アデルは一歩、また一歩と後退していく。
が、それをルドルフは許さなかった。

「もう、ここまできたんですから。逃げられませんよ、アデルさん」
「こんな所で冒険なんて絶対に嫌よぉ! 帰してぇ!」
「ハイハイ、四の五の言わずにさっさと終わらせちゃいましょうねぇ。叫ぶと《グラスホッパー》が向かってきますよぉ」
「ギャアァァァ! イヤアアアアァ……!」

ルドルフはアデルの手首を掴むと、有無を言わさずに連れ回した。
コウモリたちへ魔術を放って死んだコウモリたちの耳を切り落とし、革の袋に入れ、どんどんと奥へと進んでいく。
と、一歩一歩踏み締めていく度に背筋に悪寒が走り、心臓の脈が早くなっていった。
そして徐々に、感覚が冴えていくのを感じるのだった。
この胸騒ぎは、いったい何なのだ。
ルドルフは先に進めば、この違和感の正体が分かる気がして、着実に歩を進めていく。
数分後前方に、二人の人影が見えた。
一人は頭にバンダナを巻いた軽装の男。
そしてもう一人は肩までのミディアムヘアに、重厚感のある分厚い鎧を身に纏う、女性型の彫像だった。

「ヒィィィ! やめてくれぇ!」
「邪悪なる冒険者め、我が神に代わって私が貴様らを成敗するッ!」
「シルヴィアさん、何をしてるんですか」

また、冒険者に因縁をつけていたのか。
ルドルフはバンダナの男を哀れに思い、二人の仲裁に入った。

「何故止めるんだ。奴は片手に武器を持ち、私に向かってきたのだぞ」
「冒険者なんですから、常に周りを警戒して殺気立っているのは当然でしょう。シルヴィアさん」
「おっ、冷静に考えるとそうだ。ルドルフは賢いな」

そういうと、シルヴィアは納得したように腕を組む。
以前訪れた際にも、ルドルフは同様の台詞を放った。
彼女の記憶からは、すっぽりと抜け落ちてしまっていた。
ちなみに彼の父ヘンリーの著作、《幻獣図鑑》では馬鹿女幽霊と扱き下ろされている。

「ところで、この彫像は?」
「あ、洞窟の前の台座が設置されていたでしょう。彼女がシルヴィアさんです」

アデルと彼女は初対面。
ルドルフは簡潔に、彼女の自己紹介を済ませた。

「アデルよ、私の名はシルヴィア・レイモンド。悪しき者は私が滅ぼす、遠慮なく言うのだぞ、うおおおぉ!」

剣を掲げて、格好つけながら、彼女は勇ましく咆哮する。
正義を気取っているが、洞窟に入ってくる人々を見境なく襲い掛かるのは、傍迷惑としか言いようがない。
義賊と呼ばれる盗賊もいるのだから、せめて相手は悪人だけに絞ってくれればいいのだが。
ルドルフにとって彼女は、現状では善にも悪にも、どちらにもなり得た。

「無差別に冒険者に襲い掛かる怪物に、悪しき者扱いされて気の毒ね」
「ハハハ、確かにそうですね。初対面の時は、僕にも襲ってきましたし」

ルドルフは苦笑しつつ、アデルの発言に頷いた。
辛辣な物言いだが、こればかりは彼女に同意せざるを得なかった。

「おい、二人して馬鹿にするなよ」
「馬鹿にされた回数、ちゃんと覚えてるのかしら?」

そう言われるとシルヴィアは、親指、人差し指、中指、薬指、小指と順々に指を曲げていく。
左手の指も同様に曲げると

「十回以上だ!」

と、高らかに叫んだ。

「あら、十以上数えられないの」

馬鹿馬鹿しい会話に花を咲かせていると

「ところであの光、綺麗だな」

話の途中に、突然シルヴィアが指差す。
指し示した方には、ふわふわと神秘的な光が漂っていた。

「……あれは《マナ溜まり》じゃないかしら」
「えっ、本当ですか」

《マナ》。
空気や水などに普遍的に存在する超常的な力で、魔法を用いる際にも必要となる物質。
平素は目視できないのだが、時折、《マナ》が過剰に発生して、《マナ溜まり》と呼ばれる現象が起こる。
すると米粒ほどの大きさの暖色の光が、視認できるようになるのだ。
しかし通常《マナ》は、魔法を唱えるなどして消費されていくものなので、そうそうお目に描かれるものではない。

「シルヴィアさん。この光、ここら辺で以前から見掛けましたか」
「いや、私は《マナ溜まり》とやらを初めて見たからな。綺麗だし、毎日見ていたいぞ」
「……かつての《月の御子》の《マナ事変》にも似ていますね。ありがとうございます」

三か月前は、ルドルフは洞窟深部で《マナ溜まり》を見掛けた。
にも関わらず、今は出入口からさほど遠くない場所で、この現象が引き起こされているのだ。
ルドルフが三か月前感じた違和感は、確信へと変わっていった。
間違いない、この地に眠る何かが、《マギアイト洞窟》の《マナ》を増大させている。
彼はシルヴィアに一礼すると、更に奥深くへと向かっていった。

アルクレプス大陸英雄譚 殺すか生かすか、ルドルフとアルヴィドの対立

アルクレプス大陸英雄譚
05 /20 2019
「……ルドルフ、理由を話せよ。返答次第じゃ、俺はお前を……」
「きっと、しょうがなかったんだよね。そうなんだよね」

二人は心中穏やかでなさそうに、そわそわと凶行に及んだのかと尋ねる。
よりにもよって一番見られたくない幼馴染に、目撃されてしまうとは。
ルドルフは命を狙われたことや、何故彼らを殺すに至ったか、事の顛末を詳細に説明する。
喋っている最中、彼は眉一つ動かさず、達観した様子だった。
どうせ分かる筈もない、理解できないに違いない。

「何しやがったんだ」
「―――レクィエスカト・イン・パーケ。自分の周囲にいる全ての生物の睡魔を誘い、その上で絶命させる闇呪文だよ。使ったのは」
「お前ッ! そんな危険な呪文を使っちまったのかよ!」
「然るべき制裁を与えただけだよ。目には目を、歯には歯を、殺人には殺人を。僕のやったことは正しくなくても、間違ってないさ」
「その制裁ってのが、殺すことなのか……! ふざけんなよ、テメェ!」

断罪した自分が正義で、彼らが悪だと、己を正当化するつもりも毛頭なかった。
ただ殺さなければ自分が死んでいた、それだけは知ってもらいたかったのだ。

「こんだけ痛めつければ十分だろうが。殺さないといけないのかよ。そんな瀕死の相手をまだぶん殴らないと、お前の気が済まないのかって、聞いてンだよ!」
「おかしいよ、ルドルフ君はこんなことやらないもん」
「どうしたんだい。人や魔物なんて、もう数え切れないほど殺したさ。あ、もしかしてアルヴィドは僕がこいつらに殺された方がよかったかな?」

そう言うとルドルフは口角の片側だけを吊り上げ、余裕とも侮蔑とも形容できそうな、軽い笑み浮かべた。

「意味わかんねえよ。俺はただ……」
「ずっと僕をライバル視していただろう。格上の僕が死ねば、相対的に繰り上げで自分が強くなれるからね。見たくないなら、あっちに行っててくれ。邪魔しないでくれよ」
「俺の前でそんなことさせねぇ! 絶対にッ!」

アルヴィドは啖呵を切ると、背中に背負った弓を構え、矢をつがえる。
まるで自分に従わねば容赦なく射ると、そう言わんばかりに。
だが、彼が弦を持つ手が微かに震えているのを、ルドルフは見逃さない。
その様子から、彼は恐らく生きた人間相手に矢を向けたことがなく、緊張しているのだと察した。
そんな彼が、いきなり何の抵抗もなく、人殺しなどできる筈もない。
つまり、ただのわがままを押し通すためだけの脅しでしかないのだと、ルドルフは看過した。

「それだと僕に当たらないんじゃないかな。もしかして遠慮してるのかな。随分甘ちゃんだね、アルヴィド」
「うるせぇよ。お、お前、ルクスじゃ羊みたいに大人しかったじゃねぇかよ」
「暴れたら立場が危うくなるからね。それにダンさん、ハンナさんの耳に入ったら、嫌われかねない。全部自分の都合で動いてるだけだよ。こんな悪党は、城壁の外で出逢ったら魔物と一緒さ」
「ウダウダうっせぇよ! 友達が人を殺すとこなんて見たくねぇんだよ!」

アルヴィドは、玩具屋の前で玩具を欲しがる幼児みたいに、駄々をこねた。
法も秩序も、権力に見合うだけの力が伴わなければ、水泡に帰すのだ。
無秩序な世界ならば尚更だ。
そんなに人のやり方が気に食わないというなら、力づくで止めればいい。
ルドルフは歯噛みすると、ピクリとも動かなくなったオーランドを、苛立ち紛れにゴミ袋でも投げるかの如く、ぞんざいに放り捨てた。

「うるさいのは君の方だろう。この死にぞこないの命を助けたいんだろう。なら僕を止めてみろよ」
「何でッ、何でお前と戦わなきゃいけねぇんだよォ!」
「里では、君は僕のライバルだって言ってたろ。もう面倒だからさ、勝った方が正しい、それでいいじゃないか。本気の、魂の殴り合いで決着をつけようよ」
「頭おかしいんじゃねぇか、お前」

ルドルフの突飛な発言に、アルヴィドは気持ちをそのまま、着飾りなく吐き出した。

「そうかい、僕と戦う気は起こらないか。なら、その気にさせてあげるよ。殴られれば、君の気持ちも変わるだろ」

ルドルフはアルヴィドの胸倉を掴むと、躊躇なく横っ面に拳骨を見舞わせる。
殴った方も、殴られた方も痛いとはよく言ったもので、ルドルフの拳も、若干の痛みを覚えた。
目や鼻、金玉など急所を狙わないのは、せめてもの情けだった。
これは殺し合いではなく、ただの喧嘩だと自覚していたからだ。

「アルヴィド、君も殴れよ。ほら、やられっぱなしで腹が立たないのか。いいからこいよ!」

公平を期すために、ルドルフは自分の頬を人差し指でぷにぷにと触りつつ、殴るように促す。
しかしアルヴィドはというと、彼の良心に訴えるかのように無抵抗を貫いた。
親友の自分に手を掛けるなら、やれるならやってみればいい。
それが、彼なりの覚悟だった。
状況が許すなら、殺しもやむを得ないルドルフ。
悪人であれど生かすべきと考えるアルヴィド。
二人の思想は、真っ向から対立していた。

「なんだ、まだやる気が起こらないか。それなら、もう一発」
「……もう、一発!」
「お願い、やめてぇ! 酷いよ、ルドルフ君。なんでこんなことするのよぉ」

見るに堪えない光景に、ダグマルが縋り付く。
だが彼女の必死の要求も、、彼の暴走を止めるには至らない。

「アルヴィド、君の事だ。御両親に無断で、ダグマルを連れ出した事くらい想像がつくさ」

冒険に出れば、人間に襲われることもある。
その悪党に躊躇わず手を下せれば、その分死のリスクはぐんと減る。
もし彼女の亡骸を見たら、両親がどんな気持ちになるか、アルヴィドは考えたことが、一度でもあるのか。
わざわざ冒険になど出ずに、里で平凡な家庭を築いて、子どもを産んで、家族で幸福になる道だってある。
死なせでもしたら、彼女の両親に対して、言い訳が立たないだろう。
人の命を預かっているという自覚もなく、不測の事態に備えてもいない。
アルヴィドの自己満足に、ルドルフの心の昂ぶりは抑えようがなかった。

「冒険に連れ出したからには守るんだろう、彼女を。それなのに、そんなんで、大事な人が守れる筈あるもんか!」
「魔物は始末できるんだろう。だったら、人に対しても早く慣れないとね。冒険者はね、君みたいな半端者のやつが、真っ先に死んでいくのさ」

言いたいだけ言って、回復魔法をアルヴィドに向けて唱えると、ルドルフは泣きじゃくるダグマルに背を向けて、その場を去っていく。

「行きましょう。みっともない所を見せちゃいましたね……」
「別に構わないわ。私も、アルヴィドとかいう子の綺麗事に付き合っていられないしね」
「そうですか」
「でもねぇ、そんなに躊躇なく殺していたら、いつか後ろから刺されるわよぉ。……フフ、ンフフフ、アッハッハッハッ!」

アデルは意味ありげに、狂ったように高笑いする。
そしてこの時、彼女は何らかの意図を持って、自分に近付いたと気付いた。
しかし彼にとって、彼女が何者かも、どんな思惑を抱いているかも関係がなかった。
妨害されて潰える命なら英雄の器ではなかった、それだけの話だ。
ルドルフは彼女にチラリと視線を送ると、父と母を超えようと、意志を新たにしたのだった。

yuu_garakuta

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