このクソブログにしてこの管理人 

2024.07.09.Tue.00:48
愚痴、自分語りになりますが、すいません。
更新を停止していた頃はロクに書き上げもしないくせに、認められたいとつまらない自己顕示欲ばかりが増して創作に嫌気がさしていました。
そしてクソブログ管理人は更新さえすればたとえ粗製乱造のゴミクズであってもアクセス数を稼げると、原稿用紙一枚にも満たない稚拙な描写の駄文を毎日書いて、ランキングだのに一喜一憂して、どうしようもなく惨めだったと、今更ながら思います。
実際まともに描写と呼べるものは皆無で、ただひたすら説明、比喩を繰り返す書き殴りばかり、全ては管理人の無能が招いた結果。
当然、誰かに評価されるわけもありません。
結局は楽したかったのです。
たかだか一枚分、書いて終われると。
更新を断ち、ゲームの記事を書いて拍手なんか貰えると嬉しい反面これでいいのかと、心底喜べずに居たのは創作への無責任さに由るものでした。
にも関わらず、自分では無くゲームを責めて慰めていました。
こんなゴミ記事を投稿したのは、誠意を見せる為にも半端に書くのはもう終わりにしたいからです。
来月で丁度一年経ちますので、この機会に変わりたい。
私事ですが戒めの意味を込め、一番見えやすい所に投稿させてもらいます。

2014年7月9日

ここからは自分語り。
創作活動を行う人は自分含め、布教活動、修行等の為に各地を転々とする遊行僧として映ります。
家庭も持たず屋外で野営をして、ただ自分の信じる教えを伝えんとする精神性など自分は持ち合わせていませんし、個人の価値観と思想、宗教を一緒くたにするのは荒唐無稽に思われるかもしれませんが、場所や時代を問わず、一瞬でも感性を共有出来たならそれは物書き、表現者としての喜びとさして変わりません。

最後に創作活動をする人達へ。
評価は他者が決める指標でしかないので、それを絶対とするのはあまりに危険。
気にしている人はランキングだのコメントだの見ないよう習慣付けるのが、一番です。
悪く言われた訳でも無い、特に文句の無い作品ってこと? なら別に良いかと片意地張らずにやれるのはアマチュアだけなんですから、それを苦痛にしてしまうのはあまりに勿体無い。
多くの人に見られるまで、評価は無い物と扱うのが賢明なんじゃないでしょうか。

以上過疎ブログ管理人の戯言でした。
スポンサーサイト

恋愛・青春小説 「暑夏」 直人と千尋 その1

2017.10.01.Sun.22:17
空は夕焼けになっている。






桃栗三年、金槌十五年

せんぱい、今日はほんと~~~に楽しかったですよっ(*^^*)
先輩に愛想をつかされないよう頑張りますから、また一緒にプール行きましょうね("⌒∇⌒")
大会、ガンバです! オー!



パンツ一丁


ちゃんと励むんだぞ。





犬派猫派戦争を終結させた男 1708

三好くん、原田さんの指導お疲れ様。
あと少しで地区高専が始まるから、力を出し切ろう。
獅子🦁が兎🐇にも全力を尽くすように。



パンツ一丁

ありがとう、わっつん。
けど原田にも悪影響があるから、なんでもかんでも生き物に例える癖は控えて。



犬派猫派戦争を終結させた男

なるべく気をつけるね。
インコ🐤みたいにモノマネが上手な原田さんは
、すぐに向上する。



理沙

ナオト、原田さんに変なコトしてない?
あんまり女子の情報網を侮らないこと。
何かしようものなら、すぐに広まるんだから。
それはそうと、大会でいい結果が残せるようにお互い善処していきましょ。
私はアンタが競泳に真面目に取り組んできたこと、知ってるから。
中学からず~~~っと補欠で才能がないことも。



パンツ一丁

じゃかぁしいわ! 見とれよ理沙!
いつか水泳部で最速の男になったるわい!
覚悟しとけや! おおん!


理沙






あいうえおかき

うるさい人がいなくて、今日はしっかり練習が身に付きました。
先輩、お気遣いありがとうございます(笑)



パンツ一丁

シンゴきゅん☆
あしたぁ、せんぱいが『上下関係』教えてア・ゲ・ル(^^)v



あいうえおかき

先輩は『実力主義』って言葉、知ってますか?




チヒロ

今日は三好くんが居なくて寂しかったな。
明日は今日の分まで話そうね。
三好くんが手伝ってるんだから、夕花ちゃんもきっと泳げるようになるよ!



パンツ一丁







830

2230 2400



831

0005 0025

1005 1110

恋愛・青春小説 「暑夏」  空の花、地上の花 その4

2017.10.01.Sun.12:00
午後5時、他の季節なら空が真っ赤に染まっているだろうが昼間のように明るくなっている。
蒸し蒸ししていて生暖かいせいか、時折肌を触る風は涼しく感じた。
keiseiの英文字がデカデカ描かれた改札口を、フライドチキンのチェーン店とポストが挟むように立っていて、改札口前の片側一車線の道路を楕円を描くように、ずんぐりした車体の軽自動車が数台走っていた。
周りにはドーナツ屋のチェーン店などの小さな店舗が櫛比(しっぴ)しているくらいで、駅前だというのに殺風景極まりない。
7月の上旬から期末テストが始まり、試験休みで夏休みまで部活動はなく、理沙と二人で遊んだ帰り道、俺だけバス停に並んでいるところだ。
部活帰りの学生たちが並んでいるせいで屋根からはみ出てしまい、今日が雨でなくてよかったと心底そう思った。
二人とも離れると、また並び直す羽目になるので、飲み物は近くの自販機に、理沙が買いに行っている。
「ほーら、直人。低脂肪のココア! これ、好きでしょ」
肩を叩かれ振り向くと、キンキンに冷えた缶を、理沙は頬っぺたに押し当ててきた。
金属特有の、ひりひり痺れるような感覚すら覚える冷たさだ。
触れているうちに手の平の熱が伝わって暖かくなったりもしないし、熱いにしても冷たいにしても、金属は極端なのが嫌いだ。
しかし今は、その冷感すら心地いい。
「ちべたい 」
俺が言葉を口にすると、缶を手渡した。
手で口を押さえ眉を八の字にして、まんまと引っかかった俺を小馬鹿にして笑っていた。
「ありがとう」
目を細めて俺は返事した。
「ハハ、ごめんごめん。でも中学のころはココアなんか飲んでなかったのに、急に飲み始めるようになったよね」
「んなの、人の勝手だろ」
缶ジュースを開け、ココアを啜ってから俺は言った。
柔らかな甘さでついつい手が進む。
舌触りは粉っぽくて苦手だ。
飲み終えると幾分か腹が満たされたからか
「ふわぁ~」
と、俺は一つ大きなあくびをした。
目の前が暗くなっては視界が開けて、目の前が暗くなっては視界が開けて、反復される。
目の端がひくひく動くと、泣きたいわけでもないのに涙が滲み、ピントの合わないレンズ越しから被写体を見るように、世界がぼやけて見えた。
しかし意識は冴えている。
何故だろう。
ふと疑問が浮かぶ。
が、すぐに答えが出た。
あぁ、そうか。
俺は退屈しているんだ。
「どうしたの。もしかして寝不足?」
「いや、暇だなぁって。猫だって暇なときはあくびするだろう?」
「そうね、けどこういう日もいいものじゃない。普段は部活に勉強で忙しいし」
「ゆっくり休むのもいいけど、俺は泳いでいたい。そのために一心に入学したんだから」
理沙の言葉を噛み砕くより早く即答した。
いや、そもそも大した意味などないのかもしれない。
何の気なしの会話ですら、『休む』ことを拒んでいた。
理屈では、筋肉の発達に休養は不可欠だと分かっている。
でも、結果を出すためにも練習しなければいけない。
重さの釣り合わない天秤みたいに二つの気持ちの均衡が取れなくて、胸の中で右に左に心が揺れ動いていた。
「直人……選ばれなかったね、リレー選手に」
浮かない表情で、理沙は俺を見つめた。
このままずっと補欠なのではないかという不安や恐れ、結果を出せない己への怒り……。
そんな感情を、今の俺の台詞から感じ取ったのだろうか。
取り繕おうという気はなかった。
そういった気持ちが全くないわけではないし 、弁明すればするほど
俺は高校の名前を背負うに相応しくない。
端的に言ってしまえば、戦力外の役立たずということだ。
「そうだな」
理沙には不貞腐れたように映ったかもしれない。
が、不思議と自分の心は軽かった。
実力のみを重要視しているなら、他の部員にとってもフェアーな条件だ。
それでこそ、数少ない枠をもぎ取る価値がある。
「まだ一年生だから、先輩たちと差があるのはしょうがないよ。来年はきっと直人だって」
一年だから、それがレギュラーになれない理由になるものか。
一年でも実力や将来を見込まれて、レギュラーになれるやつだっているじゃないか。
けど、そういう奴は中学の頃からインハイに出場しているような天才なんだろう。
そうだ、俺はごく一握りの天才なんかじゃあない。
言葉のメスで、心の奥深くにくすぶったモヤモヤしたものを、ズタズタに切り裂き抉って傷つけていく。
執刀医は俺自身だ。
なんだかんだ自分の心は、自分が一番よく分かっているのだ。
「ああ、来年には一緒に出場できるように頑張ろうな」
不安な気持ちとは裏腹に、理想的な返答をしていた。
もしも会話に正解、不正解があったなら、解答用紙に載るような模範解答に違いない。

恋愛・青春小説 「暑夏」  空の花、地上の花 その3

2017.09.11.Mon.12:00
四方を緑のフェンスに囲まれていて、野外の開放的な空間にも関わらず、どこか閉鎖的に感じるプール施設で、練習に励んでいた。
プール開きは5月に行われるので、プールを使えない10月から5月までの期間は、プールサイドでの筋トレが主な活動内容だ。
入浴前に汗を流すためのシャワーに目を洗う水道、所々苔の生えた、腰掛けると尻餅をついてしまいそうな木製ベンチ。
目ぼしいものは、それくらいしかない。
小学校のプールと同程度、或いはそれ以下のショボい設備だ。
一応、一心高校の名誉のため付け加えておくと、毎年関東大会まで勝ち進む実績はある。
だが悪く言ってしまえば、室内温水プールで一年中泳げる環境や、充実したトレーニングルームがないため、その強いには「県立校にしては」という枕言葉が付くだろう。
『流星』の如く有能な新一年でも現れるような奇跡でも起こらない限り、インハイなど夢のまた夢だ。
もっと力を入れた高校に入学したかったが、大会で名を連ねるような強豪校は、ほとんどが中高一貫校、県内有数の進学校で、自然と選択肢から消えていった。
満足のいく環境ではないものの、俺の学力で目指せる範囲では、最良の選択だったと信じたい。
―――そして過去の自分の正しさを証明するには、頑張って成果を上げる他ないのだ。
先輩たちを見ると、銃を向けられ「手を挙げろ」と脅されたときみたいに、手を後ろで組みスクワットをしている。 
極力膝を動かさず、正しい姿勢で行う。
「皆、頑張れー。自分に負けちゃダメだよぉ」
他のグラウンドでやるような運動部と違って、黄色い声援を送ってくれるのは、マネージャーくらいのものだ。
異性にモテたいといった理由で、水泳部に入部する奇特な人間はほとんどいない。
未経験者も歓迎しているが、ほぼ経験者ばかりだ。
だからか俺たち新一年を含め、皆、軽いウォーミングアップでへばらないくらいには、体を仕上げていた。
フォームの修正を促された者はいても、根を上げた者は一人とていなかった。
「普段している練習に、どんな効果があるのかを自問したことはあるか」
コーチは、ショーウィンドウのマネキンが着た衣服を品定めするみたいに、スクワットする部員たちに目をやりつつ訊いてくる。
「今のスクワットでは大腿四頭筋(だいたいしとうきん)、下腿三頭筋(かたいさんとうきん)、大臀筋(だいでんきん)、ハムストリングなど、主に太ももと尻まわりの筋肉を鍛えている。水中でのキック力の向上を目的とした練習だ」
コーチの言葉に返事をする部員はいない。
それほど練習に対して集中していた。
「疑問を持ち、何をすればいいか考え、解決策を見出だし、取り組んでいく。そうやって勉学に向かってきただろう。スポーツも同じだ」
コーチの視線は虚空を向いていて、俺には聞かせるというよりも、むしろどこか遠くに向けて語り掛けているように思えた。
ストレッチを終えると、数十秒の小休止。
体は暖まっていないのか、外気はまだ肌寒い。
「次は腕立て伏せ(プッシュアップ)1セット」
コンクリートの上に敷いた、長方形のマットの上に仰向けに寝そべる。
「一年たちは無理せず、膝をつきながらでいいぞ」
コーチの言葉に
「先輩たちと同じように練習します」
と俺は返した。
発言に面食らって目をぱちくりさせていたが、コーチは「わかった」とだけ言って止めはしなかった。
「始めッ!」
合図と同時に顎と大胸筋が、マットに着くくらいに腕を曲げる。
「ハァッ、ハァッ、ハッ……」
腹の底から、息が洩れ出る。
体勢を取るだけで精一杯だ。
呼吸をする度に胸や腸がびくびくと波打ち、火にかけたヤカンから出る湯気のように、熱い息が口元にかかった。
腕が震え、褐色の肌にはネズミの尻尾みたいな細い血管が浮き出ている。
それはまるで腕の筋肉という筋肉が、『無理だ』と悲鳴を上げているようだった。
高校受験で体がなまってしまったことも一因だろうが、腕立て伏せを、ただゆっくり行うだけで、これほどまで負荷が掛かるものなのか?!
これを3秒維持した後に、さらに3秒掛けてゆっくり体を持ち上げるだって!
止めたければ、オレンジのマットに身を預けてしまえばいい。
でも俺は、自分自身に負けたくなかった。
腕ではない。
執念が、この時の俺を支えていた。
「想像していたよりキツイだろう、三好。だが、適当に回数をこなすよりも効果がある。設備の整っていないウチが勝とうと思ったら、練習の質や効率を高めるしかないんだ」
俺の心を見透かすかのように、コーチが呟く。
自分の軟弱さを、周りに知られた羞恥心はなかった。
それよりも「早く数字を読み上げてくれ!」という気持ちの方が、遥かに強かった。
「いーち」
間延びした声が鬱陶しい。
「にー」
早く、早く!
「さーん」
思いっきり持ち上げる。
ただ一回腕立てしただけなのに、顔や体が火照っている。
「三好。背中が反って○イキのマークみたいになってるぞ。見栄を張らず、膝をつきながらでいい」
指摘されて、初めてしっかりとした姿勢で出来ていないことに気がついた。
「……すいません。コーチ」
「謝ることじゃないだろう」
別に、コーチに謝罪したかったわけではなかった。
決めたことすらこなせないのが不甲斐なくて、つい口をついたのだ。
けれど、それを嗤う人間はその場にいなかった。
ただ一人いるとすれば、それは俺だった。
何よりも自分自身が、自分を責めていたのだ。
「1時間練習したか。よし、10分休憩。各自しっかり水分を摂ること」
右腕に巻いた腕時計を見て、コーチが言う。
マネージャーのあきぴーが、凸型の飲み口の付いたドリンクボトルを、部員たちにを差し出した。
「ありがとう、あきぴー」
味はしないが、運動後の体には嬉しい一杯だ。
水で薄めたスポーツドリンクだと聞いた。
「ちゃんと甘いもの摂らないと。この糖質が、皆の筋肉になるんだから」
飲み干したボトルを見るや否や、有無を言わさず二杯目をくれた。
「千尋ちゃんもどうぞ!」
「あきちゃん、ごめんなさい。私、自分の分は持ってきてるから」
そう言うと小早川は、リラックスしたネコのように上唇と下唇の間から舌先をちょこっと出し、水筒を傾けて中身を流し込む。
ごく普通の動作なのに艶めかしく感じたことを、今でも覚えている。
口を離すと唇の端に玉のような水滴が滴り、ぽとりと垂れ落ちた。
「小早川さん、いつも持参したドリンクを飲んでるよね。中身はなんなの?」
俺は問い尋ねた。
「ハチミツレモンだよ。三好くんも飲んでみる?」
手の甲で口元の滴をふき取り、小早川は言う。
「ありがとう」
手渡されたが、だからといって気にせず飲めるほど、鋼の心臓ではなかった。
ホントに飲んでいいのか? いいのか? 
小早川に視線がいく。
フクロウみたいに丸っこい目を見開いて、まじまじ眺めていた。
近付けても、無表情は全く変わらない。
落ち着け。
飲んでと言ってくれたんだから、飲んでいいんだよな!
ああ! そうだ! 良いんだ!
その当たり前のことを受け容れるのに時間を要した。
汗が滲み出て、思うように動かせない体に、俺はそう言い聞かせる。
彼女との間接キスは、甘酸っぱい味がした。

恋愛・青春小説 「暑夏」  空の花、地上の花 その2

2017.09.06.Wed.17:00
息まで凍ってしまいそうな過酷な寒さが残った一年前の春。
俺と同じ中学に通学していた女友達の理沙と、県立の進学校である一心高校に向かっていた。
呼吸する度に体の芯へと冷気が入り込み、話をするのも億劫で、無理に会話をしようとは思わなかった。
道中乗り合わせた乗客たちも同じように考えていたのか、ずず、ずずっと、何度も何度も鼻を啜る音だけが沈黙の中でこだましていた。
どうしようもなく体が震え、カチカチ歯と歯を噛み合わせる音が口内で響く。
絶え絶えに吐く息は真っ白で、煙草の煙を彷彿とさせた。
「あぁ、さみい」
少しでも体を暖めようと、しつこい水垢をタワシでこするみたいに、制服越しから二の腕をさすりつつ呟いた。
「そうだね。むしろ熱く感じるくらい」
横目でちらりと覗くと、理沙は鼻と口を手で覆い、ハァハァと吐息を洩らしながらも、弱弱しく返事をした。
頬は桃色に染まっている。
大きめのマフラーを首にグルグル巻いているのは、まるでアミメニシキヘビを抱いているようだった。
学校に近付くにつれ、グラウンドで走り込んでいる陸上部の「いっしーん、ファイオー、ファイオー」と統率の取れた掛け声が大きくなっていく。
春といえば真っ先に桜を連想するのだろうが、新しい学び舎に通う、この瞬間に春の訪れを実感した。
「クラス、直人と一緒でよかった。知ってる人がいないと緊張するからさ」
「それは俺も一緒だ。そのことで、中学みたいに冷やかされないといいけど」
喋っていると、あっという間にレンガ造りの校門が見えてきた。
と、長袖の白シャツに黒ズボンの、中学生男子のような服装をした生活指導の体育教師、山田の姿が視界に入った。
一心高校の校章バッジは対の勾玉が象られており、紐を通すための穴が小さな瞳孔のように見えるため、世間では『カエルバッジ』などと揶揄されているが、山田もそれに似て、カエルのような面構えをしている。
関わりたくないのだが、挨拶をしないと叱られるので、嫌でもせざるを得ない。
「「先生、おはようございます」」
挨拶をされても機嫌悪そうに口をへの字に曲げたまま、無言で突っ立っていた。
生徒には『健全な生徒の育成を』とおべんちゃらばかり並べる癖に。
心中で毒づきつつも、そのまま通り過ぎようとすると、山田は「おい、お前たち。髪の毛、染めたな?」と断定調で言い、詰め寄ってきた。
俺たち二人が絡まれているのをいいことに、学ランを着た男子学生たちと、青のブレザーに青のプリーツスカートの全身青ずくめの女学生たちが、そそくさと校門をくぐり抜けていく。
「生徒手帳の『頭髪』の欄には、染色は一切認めないと明記されているだろう」
生徒手帳を取り出し確認すると、確かに校則には、しっかり『染色は一切認めない』、『染色した場合当該生徒を帰宅させ、髪色を黒に染め直し次第、登校』との文言が記されていた。
が、俺たちにも言い分はある。
「先生、勘弁してくださいよ。プールの塩素で脱色するから、嫌でも茶髪になっちゃうんですって」
「お願い先生、許して」
理沙は、仏壇の前で故人を偲ぶみたいに手を合わせる。
が、山田は意に介さず、訝しそうに細目で俺たちを見つめ、、「水泳部ね。名前は」と訊ねた。
染色の言い訳に『水泳部員』という嘘がよく使われるのか、まるで信用していない様子だ。
「1‐Bの三好直人(みよし・なおと)です」
「同じく1‐Bの川原理沙(かわはら・りさ)です」
正直に答えた。
たとえ呼び出しを食らっても、俺たちに否はないはずだ。
「三好に川原か。もういい、早く行け」
虫でも払うみたいに「シッシッ」と手振りをして山田が吐き捨てる。
「もう行こうよ、直人!」
溜まり溜まった山田への鬱憤をぶつけるように、理沙が大声で俺の名前を呼ぶと、競歩選手のように大股で歩いていった。
「おい、待てって」、呼び止めたが理沙は振り向かない。
金魚のフンみたいに、後ろを付いていくのが精いっぱいだった。
「ホント感じ悪いよね」
「だな。一応顧問の山中先生にも伝えておくか」
同調していると
「染めたのか!」
山田の怒声が辺り一帯に轟く。
風は吹いていないのに葉擦れの音がして声の大きさを物語っていた。
またかと思いつつ、俺は見返る。
「あれは……」
俺の言葉に
「同じ水泳部の小早川さんね」
と、理沙が続けた。
いつも友達の背後に隠れてニコニコ笑っている、いまどき珍しい慎ましやか子だ。
「助け舟、出さないと」
言うが早いか、俺は駆け寄った。
「小早川さん、おはよう」
返事はない。
「なんだ。三好」
山田が鬱陶しいと言わんばかりに、眉間にしわを寄せている。
「いや、彼女も水泳部員なんで髪はどうしても、ね。小早川さん」
俺は小早川へ顔を向けて言った。
突然の出来事で驚いていたが、小早川は頷いて同意した。
「朝練が始まるんで失礼します。行こう、小早川さん」
「すいません。待って、三好くん」
小早川は山田に一礼すると、俺の後を追ってきたのだった。