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良照と里鈴書き直し SURVIVOR 魂の殺害 第十話 公園

良照と里鈴書き直し SURVIVOR 魂の殺害
05 /28 2017
腕時計の時針は九時を、分針は三十分と三十五分のちょうど間を指している。
腕時計を袖に隠すと良照は再び前を見据え、足早に歩き出した。
徒歩で十分程度の近場で、面接は十時から開始なので時間には若干の余裕があるのだが、絶対に遅刻はできないという義務感が、彼にそうさせた。
大丈夫だろうか、無事に面接をこなせるだろうか、重圧は否応なしに圧し掛かってくる。
「当社を志望された理由は?」
などと質問されても受け答えできるよう、数日前に事前に近くの図書館のPCでえのき食堂に関する情報を予め調べていたが、いざ本番になってあがらないとも限らない。
もう一度、覚えてきたことを確認しておきたい。
(御社の志望動機をお聞かせください……)
「はい、以前住んでいた地元の姉妹店で、友人と食事した際に友人が箸を落としてしまったのですが、それに気が付いた店員さんが嫌な顔一つせず、換えの箸を持ってきてくださったのがとても好印象でした。私もこのように働けたらと考え、ホールでの仕事を希望しました」
(好きなメニューはありますか?)
「はい、創業当初からあるカツ定食が大好きです。特製の甘辛ソースを衣に染み込ませて口に入れると、柔らかなロースの食感と共に芳醇な香りが口腔内に広がって、堪らなく幸せです」
頭の中に作り出した面接官の質問に、ぶつぶつ呟きながらふと立ち止まると、周りを木々が囲っており、朝だというのに、まるでその空間にだけ夜が訪れているかのようで薄気味が悪い公園が視界に映った。
最近は利用に球技の禁止にペットの散歩の禁止、喫煙や談笑の禁止など禁止事項ばかりが増えていき、どの公園でも肝心の子どもを見掛けなくなったが、此処も御多分に洩れず人っ子一人いなくなっている。
「砂場、鉄棒、上り棒、水道、ブランコ、滑り台、バネの遊具……。すごいな、いっぱいあるよ……。」
遠い昔を懐かしむ彼の細まった瞳は、まだ小学校に上がる前くらいの自らの姿をはっきりと捉えていた。
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yuu_garakuta

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