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掌編恋愛小説「恋から愛へ」 『幼馴染』 その2

掌編恋愛小説「恋から愛へ」
04 /30 2018
「おーっす! 悟、いるかぁ」
少女が勢いよく扉を開けた。
白のセーラーに黒の膝丈プリーツスカートと、至ってオーソドックスな中学の学生服に身を包んだ彼女は佐藤奈津美。
悟とは幼稚園の頃からの幼馴染で、男女の垣根を越えた親友だ。
「なんだよ、ナツミカン。用がないなら出ていけよ」
喧嘩口調で、悟は言う。
悪気はなく、、いつもの軽口のつもりだった。
しかし悟の言葉に刺々しさを感じたのか、苛立ちを覚えたのか、奈津美は同じように語気を強めて返事した。
「そんな言い方って失礼じゃない。って、何でこんなところに週刊誌のゴミがあるの」
唐突な質問に、悟は返答に窮した。
どうすれば自然な受け答えになるのだ。
部屋に暫しの静寂が訪れた。
普段は馬鹿話をする間柄なんだ、何でもいいから話題を振ってくれ!
彼の無言の主張は、奈津美には届かない。
緊張のせいか、時計の乾いた音と同期するかの如く、悟は何度も生唾を呑んだ。
いや、待て。
こういう時は下手に誤魔化そうとしないで、断片的に事実を伝えればいいんじゃないか。
9割の真実に1割の嘘という言葉もある。
「あぁ、かさばるから捨てようかと」
「ゴミ出しねぇ……」
奈津美は流し目で、ヘッドボードを見遣った。
視線の先には、タイマーのセットされた電子時計が置かれている。
その仕草はゴミの回収時間などとっくに過ぎていると、言外に匂わせているように思えた。
しかし今の悟にとって、その指摘は渡りに船だった。
「そう。朝、捨て忘れたんだよ」
これで、深く詮索してこないだろう。
「ふぅ~ん、そうなんだぁ」
悟の空返事に、奈津美は唇の片端を吊り上げ、含みのある笑みを浮かべた。
悟には、奈津美の笑顔の意味が分からなかった。
ただよからぬことを企んでいる。
それだけははっきりと分かった。
「まぁ、その辺に座れよ」
「いや、いいよ。この間勉強した時、ペン落としちゃってさぁ」
奈津美に好き放題部屋を物色されると面倒だ。
「俺が探しといてやるよ」、言い掛けたその時
「ここかなぁ」
と発し、奈津美はベッドの下へと視線を落とした。
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yuu_garakuta

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