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ファンタジー小説「迫害されし冒険者たち」 第一話 

ファンタジー小説「迫害されし冒険者たち」
05 /16 2018
酒場にて

「魔女をぶっ倒しゃ、このメシともおさらばだぁ」
円形のテーブルに置かれた、ライ麦が原料の黒パンに目を遣り、大男が言う。
「いやいや、旦那。魔女ァ、俺の獲物ですから」
大男の言葉をニヤニヤ笑いながら、向かいに座るマッチ棒のように細い男が返事をした。
「なんだと、テメェ!」
「旦那の力じゃ、魔女には敵いませんぜ」
鼻がくっつきそうなほど、二人が顔を近付ける。
睨みあう両者の間には、火花が飛んでいた。
「おうおう。喧嘩なんてしねぇで、楽しくやろうや」
その様子を見て、鎧や甲冑を着込んだむさ苦しい男たちが肩を組み、杯を掲げ、大笑する。
手に持ったシードル(リンゴ酒)は、天井から吊るされたカンテラに照らされ、黄金色に輝いていた。
と、その時である。
カンカン、ガチャ……。
ドアベルが鳴り、木製の扉が開いた。
「おお、大盛況だな。想像通り、酔っぱらいしかいねぇや」
酒場にいた全員が、ドアの方へ視線を注いだ。
声の主は、俗にポールアックスとも呼ばれる長柄の斧を背中に背負った少年だった。
が、男たちの瞳は、少年に向けられてはいない。
彼らの目に止まったのは、その少年の背後に立つ、ローブに身を包むヒトの姿だった。
みるからに怪しげな風体に、彼らの冒険者としての本能が疼いた。
ダンジョンの宝箱を開くときのように、彼らの心の中は、好奇心と高揚感で満たされていった。
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yuu_garakuta

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