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ファンタジー小説「迫害されし冒険者たち」 第二話

ファンタジー小説「迫害されし冒険者たち」
05 /17 2018
「おい、そこの。暑苦しいフードなんか脱いだらどうだ」
喧嘩腰で、大男がローブのヒトに突っ掛かった。
「まぁまぁ、旦那。これでも飲んで落ち着いてくれよ」
少年は穏やかな口調で語り掛け、テーブルのエールが注がれたジョッキを、大男に握らせ、仲裁に入る。
「なぁ、旦那。何があったのか知らねえけどさ。コイツを飲めば嫌なことなんて、全部忘れさせてくれるだろ?」
赤子をあやすような口振りに、大男はプルプル身体を震わせた。
彼が苛立っていることを、少年は分かっていた。
だからこそ周囲に飛び火する前に、火の粉を消そうとしたのだ。
「るせぇんだよッ、ボウズ! 俺ァ、そこのローブ野郎に聞いてんだ!」
大男は怒りのままに、ジョッキの中身を少年に浴びせかける。
「……気は晴れたかい、旦那」
狼藉にも表情一つ変えず対応する少年に、大男は困惑した。
なんだ、こいつは。
何故、怒らないんだ。
今まで、こんな風に因縁をつけたら、どいつもこいつも乗ってきたのに。
頭の中に、次々と疑問符が浮かんだ。
そうこう考えている内に酔いが覚め、興が削がれた大男が背中を向けると
「デクの坊。これ以上ウィルを愚弄したら、ただじゃおかないからな」
グラスを叩きつける音や、ガヤガヤ喋っている雑音の中でもよく通る澄んだ声で、ローブのヒトが大男に挑発を仕掛けた。
女か。
まぁ、誰でもいい。
やっぱり酒場は、こうでないとな。
大男の表情が、自然とほころぶ。
「ほう、おもしれぇ。かかってこいよ、お嬢ちゃん」
一触即発の空気が漂った。
だが、周りに止めようとするものはおらず、むしろ囃し立てる者さえいた。
酒場では、流血沙汰はけして珍しいものではなく、庶民や冒険者にとって、娯楽の一部だったのだ。
「いい加減になさい」
黄色のドレスに身を纏った女性が、二人に向かって声を荒げた。
彼女が叱責すると、先ほどまで騒がしかった酒場は、水をしんと打ったように静かになった。
「ここは酒を飲んで、日頃の疲れを憩う場所だ。殴り合いがしたいなら、外でやりな」
毅然とした態度で、彼女は大男に詰め寄った。
夜闇に紛れて獲物を狙う獣のような鋭い眼光に、彼は思わずたじろいだ。
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yuu_garakuta

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